プロ棋士1年目【仲邑菫 初段】VS 囲碁AI強化学習1日目【GLOBIS-AQZ】

こんにちは!ひかるです。

昨日2019年7月10日にGLOBIS-AQZの初手合いが行われました!
GLOBIS-AQZはGLOBIS、AQ、TRIPLE IZE、の3社で開発を進めている囲碁AIで、将来日本を代表する囲碁AIになるでしょう!

そしてなんとその初手合いの相手は
今年に特別枠で入段したばかりの最年少プロ棋士の仲邑菫初段10歳!
先日はプロ公式戦で初勝利をおさめ、TVでも取材されていました。

そんなプロ一年目の仲邑菫初段に対し、GLOBIS-AQZは強化学習1日目のプログラムで対戦しました。
僕も囲碁AIが好きなので一日でどれくらい碁が強くなるのか注目して見ていました!

というわけで今回はそんな気になる対局の内容を解説したいと思います!

仲邑菫初段 対 GLOBIS-AQZ

こちらが総譜になります。

黒 GLOBIS-AQZ (AI) 
白 仲邑菫 初段

213手完 黒番中押し勝ち

内容はGLOBIS-AQZの完勝といったものでした。

ひかる

一日目でとんでもなく強い!AIの成長はすさまじいですね!

GLOBIS-AQZの驚異の成長に注目!

AQZは強化学習一日目とのことですが、実際どれくらいの学習量なのでしょうか?

グロービス経営大学院学長の堀さんによると、具体的にGLOBIS-AQZは

・7時間の学習をしている
・対局数は約50万局

そして菫初段は約5千局打っているだろうから100倍近い経験をしていることになるとのこと。

ひかる

AI有利過ぎませんか(笑)

方法や理解の仕方は違っても、7時間でプロの100倍ほどの学習が出来るとなると、
相当な差があるとしても納得できてしまいそうですね。

厚みのけん制でリードを確実なものに

実戦の37手目に注目して見ます。
37手目は黒1の場所に打ちました。

黒は白の石が多い上辺に打っているので孤立していますね。
大丈夫なのでしょうか?

ここで現状を確認してみたいと思います。

全体的に白△は地をほとんど取っていませんが、中央への発展性や厚み(壁)としての役割を持っています。
つまり、厚みとしての役割(攻め)に役立てたりしないといけません。

黒は地を稼いでいるので中央への発展性は少ないですが、地合いでリードしています。
つまり黒1は上辺周辺の白△を厚みとして働かせなければ大きくリードできそう、という手になります。

そして実戦の続き、GLOBIS-AQZは以下のように打ちまわしました。

白は封鎖することで黒を攻めましたが、黒11までとなると黒は簡単には攻められなくなります。
さらに上辺に6~7目の地が増えました。

白も黒を自然に封鎖してつながりましたが、左右に厚みとして手をかけていただけに、
黒を厳しく攻めることが出来なくなり少し甘くなってしまったようです。

ひかる

厚みを働かせない見事な打ちまわしは勉強になりますね。

AIの判断のなせる業!?堅実かつ確実な一歩

続いて実戦の67手目からも見どころです!

仲邑初段が全体的に手厚く打ち進める一方で黒は1~3と打ちました。

これは白が中央に築き上げてきた厚みを堅実に牽制するという意味です。

いきなりドカンと中央に飛び込まずにこれだけ丁寧に少しずつ打ち消しているのは、厚みから攻めを受けないようにするためです。

地合いでリードしている黒としてはこれくらいで充分ともいえるのでしょう。

ひかる

スピードが無いように見えますが、相手の石を働かせないようにすることも一種の攻めなのです。

勝負師の一手!鋭く仕掛ける仲邑初段

仲邑初段も押されつつも負けてはいません。

実戦の74、76手目(図の白1、3)が勝負師として放つ一手に見えました!

白1、3に対して黒は反撃がしづらく、4と受けました。
白の狙いとしては右下黒△を分断、孤立させて厳しく攻めようとしています!

対する黒は下辺左側の白△を大きく孤立させて、攻めようとしています!

ここから両者一歩も引かない攻防が繰り広げられることになります。

そしてむずかしい戦いに突入し、仲邑初段も奮戦しましたが、
以下の図の黒1、実戦の133手を打ち、白の大石が取られてしまいました。

ひかる

将来有望な若手相手にこれだけ圧倒するとは…これが10万局の力ですか!

しかし負けてしまった仲邑初段は現在10歳です。
本人は中学生の間にタイトルを取りたいというほどで、その実力や潜在能力は誰もが認めるところ。

両者の今後に期待したいですね!

GLOBIS-AQZと仲邑菫初段について

GLOBIS-AQZについて
どのようなAIでどんなプロジェクトなのか?
と気になった方はこちらの記事にまとめましたので良かったら参考にしてみてください。

また、今回の対局相手である仲邑菫初段は英才特別採用という特別枠でプロに入段しました。
入段前に詳しいことをまとめましたので良かったら参考にしてみてください。

また来週にはGLOBIS-AQZと芝野虎丸七段との対局があり、
強化学習7日目とプロ7年目という組み合わせらしいです。

驚異の速度で強くなるGLOBIS-AQZが若手として勢いの止まらない芝野七段に対してどんな碁を打つのか楽しみです!

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