AI検討解説Part5 AIによって主流となったツケ二段!【初~中級者向け】
こんにちは!ひかるです。
今回は童夢成九段と江維傑九段の対局をもとに
「AIによって主流となったツケ二段」
を中心に、対局を検討・解説したいと思います。
一局の中でツケ二段が3回も出てきているので、総譜を眺めるだけでも面白いです(笑)
※このコーナーで用いている評価値や解説についての注意点を以下の記事にまとめています。本記事をご覧になる前に一度目を通してください
目次
童夢成六段 対 江維傑九段
こちらが今回取り上げる棋譜の総譜です。
黒 童夢成 六段
白 江維傑 九段
276手 白番半目勝ち
黒番から見た評価値の推移
縦軸=勝率
横軸=その局面の着手数
主流になってきた打ち方「ツケ二段」
それでは見ていきましょう。
まだまだ序盤ですが1と相手の石にツケ、そして3と二段バネをしました。
この手順のことをツケ二段と呼びます。
そのあと実戦は以下のように進行しました。
8に対して9と受けさせてから白はほかの場所へ打つことが多いです。
この打ち方はAIが頻繁に採用することから現在、主流傾向にあります。
ちなみにこのツケ二段ですが、AIが用いる以前にも打ち方の候補に挙がってはいます。
主流ではなかったと思いますが。
そのさいの定石は若干異なり、以下のようになっていました。
今までの主流の打ち方とどう違う?
AI出現以前は長らくの間、以下の4ようにスベリを打つ定石が主流でした。
この定石は定石を学んでいる方は初期の頃から触れたことがあるかと思います。
それくらい頻繁に使われる代表的なものでした。
手順の途中にいくつか変化もありますが、級の方の多くはこの形でひと段落することが多いでしょう。
ではなぜAIはこの図ではなくツケ二段を選ぶのでしょうか?
細かい理由は少しレベルの高い解説になるのでPart6で取り上げていきます。
詳しく知りたいという方はPart6の更新をお待ちください!
こちらの図を採用しても問題はありません。
最終的には自分の打ちやすい打ち方を選びましょう!
アタリにつなぐと危険!?シチョウに気を付けよう
続いては実戦の手でもAIの示す図でもないですが
初級~中級の方にとって大切なポイントなので紹介します!
以下の白1(実戦34手目)で黒一子をアタリにしました。
アタリにされたら石が取られたくないから守りたくなりますよね。
ではここで黒が一子を助けるとどうなるでしょう?
白3までとなります。
また黒の一子がアタリですね!
これはシチョウという形ですから、この黒一子は逃げることがむずかしいです。
このようにアタリにされ続け、結局取られてしまいます。
シチョウはこのような長い手順を全て読み切らなくても判断できますのでご安心ください。
シチョウについて詳しくはこちら
黒一子が取られていると以下のような状態と考えることが出来ます。
白は右辺側に地を持っているとても固くて強い石があり、一子取ったことで大きく中央に前進しました。
すぐに大きな地が出来るようなことはありませんが、将来、中央での戦いに役立つだろう立派な石と考えることが出来ます。
この将来性はかなり高いので、アタリにうっかりつなぐと後々にひどい目に合うかも!
要注意ですね。
当ブログで繰り返しお伝えしていることですが、無理に理解しようはせずに、そう考えられるのか~くらいに捉えてください。囲碁を打ちながら理解は少しずつ進みます。
つなげないならどうする?答えは「上手く捨てよう!」
(再掲)
先程のこちらの図、白1のアタリにつないでしまうと大変なことになることがわかりました。
ではどうしたらいいかというと
取られちゃうのは仕方ない、上手く捨てよう!
と考えると良くなります。
「上手く捨てる」とは具体的にどうすればいいのでしょうか?
まず黒△は先ほどのように助ける暇はないので、△を利用して広く空いている側に黒石を運びたいと考えます。
このように黒2~4となると黒石が壁となって左方向への将来性を増すことが出来ます。
アタリだった石は取られてしまいますが、大した問題ではないですね。
囲碁は石を取れば勝てるのではなく、最終的に地を比べるので石の効率が重要になります。
自分の石(この場合は黒)が碁盤の広い方へ向かっていることが何より大切なのです!
今回はここまでで次はPart6に続きます。
囲碁AIの研究がみなさんの参考になることを願っています。
※この記事は日本棋院所属棋士の河合将史五段の監修のもと制作しています。
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