AI検討解説Part2 模様の扱い方が凄い!【上級~有段者向け】

こんにちは!ひかるです。

今回のテーマは前回の三々入りの補足と
模様の扱い方
についてです。
模様の広げ方や模様の消し方といった流れをAIの着手を参考に解説してみたいと思います!

※このコーナーで用いている評価値や解説についての注意点を以下の記事にまとめています。本記事をご覧になる前に一度目を通してください

檀嘯九段 対 柯潔九段

Part1に続きこちらの棋譜を使います。

黒 檀嘯 九段
白 柯潔 九段

152手 白番中押し勝ち

黒番から見た評価値の推移
縦軸=勝率
横軸=その局面の着手数

AI流の三々は今までの定石と何が違う?

本題に入る前に前回のPart1のテーマだった三々入りについてもう少し深く解説してみたいと思います。

一般的な定石とされてきたこちらの形ですが、近年のAIは黒から9~12のハネツギを打ちません。

比較するとこのようになります。

ハネツギの有無による一番の違いは白の固さです。

今までの定石では白の目形が出来やすくなる、つまり活きやすいため固くなりました。
碁は固い石の近くは発展性が乏しかったり狙いがなくなるため、価値が低いと考えます。
Part1でも紹介したように左下の白周辺は白が戦いやすい場所として働いてくるということですね。

しかしAI流の図の白はカケツギがない分目形が乏しく、さらに黒からAへのノゾキなど狙いが残っています。

また、隅の黒が心配…という方もいると思いますが、例えば以下のように

白1と打っても単に黒2で活きているので心配いりません。

違いはなに?厚みをけん制しやすくなっている!

それらをふまえて黒は次に…

1またはAやBのようなワリウチを打つ図が有力です。

ワリウチが有力な理由はこのように左下にある白の厚みが働くのをけん制する意味があるからです。

ワリウチは両側の辺に対してヒラキを打てる余裕があります。
そのため簡単に攻められることはありません。

ひかる

つまり黒が隅の地を取り、かつ白を厚みとして働かせない流れが有力ということですね。

またお気づきの方もいると思いますが、
以前の定石でも以下のようにワリウチを打つことは出来ます。

しかしこれは黒が黒からの狙いに乏しい白の厚みに近づいています。
こうなると黒は一方的に攻められやすく、白を厚みとして働かせてしまうため、あまり好ましくないと考えます。

こうして定石は工夫され進化していく

これらの理由からAI流の対応が有力とされ、定石は見直されるようになりました。

今までは白からAと打つ定石が一般的だった場面で、白1など工夫した対応が採用されるようになりました。
実戦もそうですね。白が先手を取っているところもポイントです。

※この辺りの細かい話は別の機会に記事にしたいと思います。

ひかる

今までの定石のハネツギを打つ考えは人間の先入観によるものだったかもしれませんね。
碁が進化していくさまを目の当たりにするのはワクワクします!

模様の広げ方に注目してみる!

今度はこちらの場面に注目してみたいと思います!
Aは実戦の選択、Bは絶芸が示した変化図です。

まず実戦の手を見てみましょう。

下辺に構えた白が左右が対象になっていて、その真ん中を山形に構えていてますね。
一つの好点だと思います!

ちなみについつい白が立体的でとても大きな構えに見えますが、以下のように

右下と左下の黒がスソアキのため、侵入経路や脱出経路が残っています。
つまりある程度白模様は削れる余地があると考えることが出来ます。

 

次に絶芸の示す模様の拡大について考察していきます!
絶芸は白1~5を示しました。

これはまず白1で黒△の三子を次に攻めるぞという狙いを込めています。
その他にも左上白が黒に迫られないように補強している意味もあります。

対して黒は攻められないように2とヒラキを打つくらいです。

ここにきて白3、5とさらに黒に圧をかけていきます。白は黒の弱い石を使いながら自然に白模様を広げているのがお分かりいただけると思います。

もし2を手抜けば以下のような攻めを受け、さらなる白模様拡大のチャンスを与えてしまいそうです。

※黒2=パス

ただし、実戦とこの図の評価値の差は数%ですので打ち手の好みで選ぶことが出来そうです。

ひかる

相手の石に響かせながら模様を広げる流れがカッコイイと思ったので紹介してみました!

絶芸の示す模様拡大のその後は?

絶芸はその後も示してくれました。
それがこちらです。

ひかる

めまぐるしく打ちまわしていますね!

 

まず以下のように黒1、白2となりました。

これは下辺の白模様を制限しようというものですね。
白は受けておくくらいのようです。

そのあと3と下辺に飛び出していきました。

黒は下辺の白模様を制限していくことが狙いです。
このように模様を消すときの基本的な手順は
上から制限し、下から削る
ということが大事なポイントになります。

模様を制限する順番が大事な理由

なぜそのような順で打つことが大事なのでしょうか?

手順を変えて考えてみると理由がわかります。
以下のように足元から先に打ってみたとします。

黒1に対して白は2くらいでしょうか。

このあと上からケシてみます。

黒3とケシを打ちました。
今回は白2があることで白△の連絡が少し強化されています。
となると黒3に対して白は守る手を省いてAの反撃、BやCなどの大所へ向かいやすくなっています。

わかりやすく比較してみましょう。


足元から打つと石の幅が狭くなるため、下辺の白の連絡がしやすくなっていますね。
すると白は守る手を打つよりも反撃したくなる、ということですね。

ひかる

もし白4と受けてしまうと白の実になる地はかなり小さく見えます。
だとするとやっぱり囲うよりも反撃に転じたくなります!

以下のその後の進行は以下の通りです。

少し内容の難易度が上がるのPart3(高段者向け)の記事に書いていきたいと思います。

 

囲碁AIの研究がみなさんの参考になることを願っています!

※この記事は日本棋院所属棋士の河合将史五段の監修のもと制作しています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です